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  • 執筆者の写真毛利仁洋

インドの「2019-2020年暫定予算」1

更新日:2019年2月19日

2019年2月1日に行われた財務大臣代理議会演説「2019-2020年暫定予算」について、数回に分けて内容を紹介いたします。


1 経済状態

・現在、インド独立75周年である2022年までに、テロリズム、ヒンドゥーとイスラムの対立主義、カーストによる差別主義、汚職と腐敗、縁故主義、これらのものから解放された理想の「新インド」を実現するために活動している。


・1991年から経済改革が始まって以来、最近5年間の経済成長率は最高であり、現在、世界で6番目の経済規模の国家となった。


・2009年から2014年の年平均インフレ率は10.1%であったが、我が政府(現在のBJP政権)は年平均インフレ率4.6%に抑えている。もし、インフレ率の抑制に成功しなければ、基本的な生計費は今よりも35~40%かかっていただろう。


・国家の財政収支は7年前には6%の赤字であったが、2018-2019年度には3.4%の赤字率に下がった。国家の税収のうち、州に配分する割合を32%から42%に増やしてもなお、政府は財政収支の赤字率を下げた。また、経常収支赤字は6年前にGDP比5.6%の赤字であったが、今年はそれが2.5%になる見込みだ。


・このような財政上の安定性に加え、外国直接投資に関する急速な自由化によって、過去5年間の外国直接投資総額は2,390億ドルにものぼる。


・過去5年間、今後数十年にわたる高度成長の場を提供する構造改革を実行した。それが、GST(物品サービス税)の導入であり、その他の税制改革である。


2 銀行改革と破産倒産法


・2008年から2014年の間に、公的部門の債務は18兆ルピーから52兆ルピーに膨れ上がった。2014年には不良債権化したものが5.4兆ルピーになった。


・これを止めて4つのR(recognition認識, resolution解決, re-capitalisation資本増強, reforms改革)を実施した。まず、不良債権を認識し、破産倒産法を制度化して、解決に役立つ仕組みによって進行中のプロジェクトや職業を保ちつつ、不良債権の回収を行えるよう支援した。既に3兆ルピーの不良債権を回収し、2.6兆ルピーの資本増強を行った。銀行の合併・統合によって、規模の経済を享受させ、資金の獲得を容易にし、地理的な営業領域を拡大させた。


(つづく)

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