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執筆者の写真毛利仁洋

2019年度予算案発表で示された「10年のビジョン」とは?

歴史的な圧勝とも言えるインド政権与党BJP(インド人民党)の単独過半数獲得をテコとして、インドは世界第3位の経済規模を目指し動き出した。

   

BJPの公約によれば、2032年には10兆ドルの経済規模を誇る堂々たる大国へとインドは成長する。

  

2019年7月5日に公表された2019年予算案によれば、インド独立75周年の2022年には5兆ドルへと経済規模が倍増する。

  

中国の経済成長に鈍化が見られる中、人口的にも中国を超えて世界最大の人口を持つと予想されるインドの経済成長を見越して、インド市場に入るべきかどうか。おそらく、答えは、「イエス」だ。

 

まず、インド政府の打ち出したコンセプトがいい。名付けて、“Make in India”だ。「インドで作ろう」とでも呼ぶべき考えがはっきりしている。このコンセプトと共に輸入関税を引き上げて、インドでの投資を促そうとしている。投資歓迎という姿勢が鮮明だ。実にわかりやすい。

 

次に、大規模インフラ投資。2022年までに100兆ルピー(160兆円)かけて、道路、高速道路、鉄道、水路、空港を整備する。現在のインドのGDPが2.7兆ドル(300兆円)だから、GDPの約半分を4年程度かけて投資する。

 

経済成長はスピードが要だ。インフラ整備は、陸運、海運、水運、空運を改善し、物流と人の動きが活発になる。これをさらに加速する要因がGST(間接税)の引き下げだ。間接税の引き下げによって、経済活動は刺激を受け、劇的にインド国内の経済速度は速くなる。

 

経済成長策と両輪とも言えるのが、低所得者層の税優遇や年金制度の充実だ。住環境の整備とともに所得の引き上げは経済成長と相まってインド経済を拡大させるだろう。

 

では、どの分野が有望なのか。それは、予算案で示された「10年のビジョン」を見てみるといい。それによれば、こうだ。インフラ、環境、製造、宇宙、国防、農業、健康医療。そして、デジタル革命。

 

自分の事業とは関係ないと思われるかもしれない。しかし、経済規模が2倍、4倍となるとき、国民所得も増加し、様々な消費者ニーズが生まれてくる。必然的に出てくる結論は、サービス業の隆盛だ。


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